君を選んだから
帰りの車の中に、何となく嫌なムードが立ち込める。

それは、俺が暗い顔してるせいか。


いろいろと納得が行かなくて、正体のよくわからないモヤモヤに囚われちゃってる気がする。

だからと言って、俺は恋人じゃないんだから、こいつを責める訳にはいかない。


「須賀くん、怒ってる?」

「え?」

「匡史のアパート行ったこと。」

「な、なんで? 俺が怒る権利なんてないじゃん。」

「そうだけど..........。」


アパート行ったのも嫌だけど、それだけじゃない。

俺はとにかく、お前が向井くんを見てるのが嫌なんだよ。

悪気はないのかもしれないけどさ。


「向井くんのこと、好きなの?」

「私が好きなのは須賀くんだよ。」

「..........。」

「知ってるでしょ?」

「ホントに?」

「ホントに決まってるでしょ?だから、こんなに大変な思いしてるんだもん。」

「大変?」

「うん、大変。」

「なら、無理しなくていいよ。」

「無理なんてしてない。だけど、私の気持ちが重くて迷惑とか?」

「そんなこと言ってないじゃん。」

「だったら、なんで..........。」


あぁ、俺、サイテー。

嫉妬で女の子泣かすとか、どんだけガキなんだよ。

どうしてこうなっちゃうのかな。

このせいで本当に嫌われちゃうだろ。

< 173 / 188 >

この作品をシェア

pagetop