君を選んだから
その日は結局、一緒にご飯を食べるには至れなくて、それどころか、明るい話題にも戻れなくて、ズーンと重苦しい雰囲気のまま、あいつと別れた。


帰りの電車の中で、ずっと考えていた。

今日、あったことを。

何がそうさせてしまったのかを。


もう認めるしかないだろう。

こんなになっちゃうほど、俺はあいつのことが好きなんだよ。


何やってんだよ。

陽奈さんがいなくなっても、寂しくならないない時点で気付けよ。


あいつのイイところはたくさん見て来たし、好きなところだって数え切れないくらい知ってる。

だけど、陽奈さんへの想いが邪魔して、今まで、一番大事なところが見えてなかったんだ。


だから、気付けなかった。

こんなに大切に思ってるのに。

誰にも渡したくないって、 本当は伝えたいのに。


もっと早く気付いてれば、こんなことにはならなかったのに。

素直に「好き」って認めちゃえば、こうなる前に言えたのに。


意地になって、陽奈さん以外を見ようとしなかった俺への罰だよな。

あいつはちゃんと「好き」って言ってくれたのに。


どうしたら、仲直りできるのかな。

上手く気持ちを伝えられるのかな。


「お前が好きだ」って、早くあいつに言いたい..........


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