君を選んだから
だけど、あんなにイライラしてたのは、私を大事に思ってくれたから？

彼女でも、恋人でもないんだから、どうでも良い存在なら、怒ったりしないよね？


元々、須賀くんはあんまり人前で怒ったりしないタイプだ。

お兄さんが言ってたみたいに、どちらかと言えば、優し過ぎて我慢して損する方かも。


なのに、ああいう態度を見せたのは、私を匡史に盗られたくないって思ってくれたからなの？

そう思いたいし、それなら全力で否定したい。


須賀くんといるのが苦しくなることもあったから、正直、匡史の気持ちにまったく揺れなかったと言ったら嘘になる。

だけど、やっぱり違うの。

匡史が気になるのは、懐かしい日々への想いに引っ張られてるからだと思う。


告白されるまま、匡史とヨリを戻しちゃえば、楽なのかもしれない。

匡史は頼もしいし、一途だし、一緒にいても楽しいし、もう昔みたいな子供じゃない。

見た目だって悪くないし、ある意味、理想の彼氏かもしれない。



それでも、私は須賀くんがいいんだよ。

天然で調子が良くて、打たれ弱くて甘ったれでも。

それでもいいから、そばにいたい。

優しくて、可愛くて、ちょっと危なかしい須賀くんと一緒にいたい。

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