君を選んだから
やだ、うそ。どうしよう。

今の言葉、めちゃくちゃ嬉しい。

須賀くんの手前、何でもないフリしてるけど、一人だったら絶対泣いてると思う。


だって、好きな人に頼ってもらえるなんて、この上なく幸せだもん。

「お前だけ」っていうセリフも、すっかり心を許し切ってるみたいな表情も。

言葉のニュアンスからして、相変わらず、恋愛要素がまったく無さそうなのだけは、ちょっと残念なんだけど..........


でも、仕方ないよね。

須賀くんと私は、新入社員研修の時から一緒の仕事仲間。

同じチームで助け合いながら仕事を覚え、今では良き同僚であり、ライバルでもある。

そこへ急に恋愛感情を持ちこんだりしたら、今のイイ関係がギクシャクしちゃうのかもしれない。


正直に言うと、私は初めて会った日から須賀くんのことが気になっていた。

だけど、今までこの関係を築いて来れたということは、彼にしてみたら、私なんて異性として意識するほどのレベルじゃないのだろう。


もちろん、仕事上はその方が都合がいいに決まってるし、どんな場面でも対等に扱ってもらえるのはそういう関係だからこそ。

当たり前みたいにそばにいられるのも、何でも気軽に話せるのも、変にカッコつけず、素の状態で接してくれるのも、全部そのおかげに違いない。

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