君を選んだから
さらに言うなら、この距離にいなかったら知らなかった顔だってきっとあるだろうし、須賀くんの好きなところをこんなにたくさん見つけられなかったかもしれない。


だから、今はまだこのままでいい。

今のポジションでいいから、もっといろんな須賀くんを知りたい。

切なくなることもあるけど、もっともっと好きになりたい。


私がそんな想いを抱いているなんて、須賀くんは夢にも思わないだろう。

でも、そんなの構わない。


そばにいる分、不意打ちでドキドキさせられたり、可愛いさにキュンとするなんてことはしょっちゅうだ。

それでも、何とか暴れる心臓を抑え込む術は身に付けたし、好きな気持ちを隠すのにも慣れた。


強気で可愛げのない女だと思われてるかもしれないけど、目を離した隙に変な虫に寄りつかれるよりはマシ。

こいつは自分で思ってる以上にイケメンだったり、母性本能をくすぐるタイプだったりすることに気付いてないから、そばで見守っていないと危険だし..........


だけど、よく考えたら、彼女がしばらくいないっていうこと以外は、須賀くんが自分から詳しく色恋沙汰を口にしたことはない気がする。

本人は恋愛下手だからなんて笑ってるけど、本当にそれだけなのかな?


それとも.......

もしかして、それは何かの予防線?

< 4 / 188 >

この作品をシェア

pagetop