君を選んだから
「あとね、うちのグループってせっかく女の子いるじゃん? 制度品の売り上げが高い所とか、競合メーカーがビューティーアドバイザー置いてる化粧品対面販売店舗は、優先的に葉山さんに担当してもらった方がいいかな、なんて。」

「あぁ、そうですね。うちは基本、アドバイザー置かないから、よくわかんないうちに競合他社に売り上げ取られちゃってるパターン、結構あると思うんですよ。」

「そうそう。そもそも俺ら、化粧品の客注受けても、商品名だけじゃ、何のことだかまったくわからないし。」

「だよねぇ。やっぱ、そう思うよね。ってことで、あおいちゃん、大型スーパー多くなるけど、よろしくね。」

「あっ、はい。」


主任は頼みごとがある時、必ずあおいちゃん呼びになる。

親しみを込めてそう呼んでくれてるみたいだし、イイ人オーラ全開で微笑むから、ついつい承諾しちゃうんだけど。


手渡された書類に目を通すと、本当にさっきの主任の言葉通りの割り振り。

先輩方もその方が良いみたいだから、もちろん、ここは素直に引き受けますが。

だけど、化粧品カウンターのある店舗って手間がかかるし、ロスの金額もハンパないんだよな.......


「あ、グリーンピアの新店、お前じゃん。ここ、すげー売れると思う。」

「ホント?」

「うん。噂ではチーフも向井くんみたいだし、俺がやりたかったなぁ。」

「え?..........向井くん?」

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