君を選んだから
須賀くんの意図がよくわからないまま迎えた当日の朝は、緊張でよく眠れなかったせいか、何となく顔がむくんでいる気がした。

最悪だ。何とかしなくちゃ。

目的が何であれ、せっかくのお誘いなんだから。


昨日の夜、LINEで簡単なやりとりはしたものの、わかったことと言えば、今日はお兄さん夫婦が遊びに来るから須賀くんちの庭でバーベキューをするということだけ。

楽しそうだし、そこへ呼んでくれたのは光栄だけど.......

ってことは、私以外は家族なんだよね?


なのに、どうして誘ってくれたのかな?

私はその中でどう振る舞えばいいの?

他にも仲の良い同期の男の子だって何人かいるのに、私だけを呼んだのには訳がある?


教えてくれればいいのに、何にも言ってくれないから無駄にドキドキする。

ただの同期の私が、家族団欒の場にお邪魔しちゃっていいのかな?


それとも、家族に紹介してくれるっていうことは、私って須賀くんにとってちょっぴり特別な存在だとか?

どこか期待しちゃう気持ちもあったりして、それが余計に緊張を煽る。


となると、誘われた時に言ってた「お前にしか頼めない」も気にかかる。

それって、ホントにどういう意味なの?

焦らさないで教えてくれないと、今日の立ち位置がわからないじゃん。

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