君を選んだから
3月の始め、私の誕生日は盛大にお祝いしようって言い出したのは匡史。

高校生活最後の誕生日だし、来年の当日は一緒に過ごせるかどうかわからない。

18才っていう歳も何となく節目っぽいし、バイト代もだいぶ溜まったから期待してろって。


そう言われて、すごく嬉しかった。

この日が幸せな日になれば、またラブラブな関係に戻れる気がする。

離れてても大丈夫って思える心の支えにもなるはずだし。


もともと匡史はサプライズを仕掛けたり、ちょっとヘンテコなセンスで人を笑わせたりするのが好きなタイプだ。

だから、絶対に楽しいだろうし、素敵な思い出になる。

そう信じて、ワクワクしながら誕生日を待った。


ところが、当日、いくら待っても、待ち合わせの場所に匡史は来なかった。

メールをしても返事はないし、電話にも出ない。

どうしたのかな?

何かあったのかな.......?


今までにもたまに待ち合わせに少し遅れて来ることはあったけど、もちろん、こんなことは初めてだ。

あのバカ、何の日だと思ってるのよ。

今日に限ってこんなの許せない。

楽しみにしてろって言ったの、自分じゃない?


待たせといて連絡も寄こさないなんて、どうかしてる。

って言うか、早く来てよ。

心細いじゃん。

こんなんじゃどうしたって、また匡史の気持ちを疑いたくなっちゃうじゃん..........

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