君を選んだから
二時間くらい待って、心が折れかけていた時、不意に後ろから、ポンと肩を叩かれた。

あっ、やっと来たんだ!!

そう思って、すぐに振り向いた。


だけど、そこにいたのは匡史じゃなくて、同じクラスの立原くんだった。

驚く私に優しく立原くんが語りかける。


「葉山さん、一人?」

「えっ? あぁ、ううん。」

「でも、ずっとそこで待ってない?」

「いや、それは..........。」

「実は俺、二時間くらい前に葉山さんがここにいたの見かけたんだけど、向井と待ち合わせしてるんだろうなと思ったから、声かけるの遠慮したんだ。」

「そ、そうなの?」

「だけど、さっき通ったらまだいるし、今もいるからさ、もしかしたら待ち合わせの相手が来ないのかな、なんて。」

「..........。」

「やっぱりそう? 向井?」

「..........。」


何となく答えにくくて、目を逸らしたまま黙って頷いたら、立原くんはいきなり、私の手を引っ張って歩き出した。


「じゃあ、決まり。野郎ばっかで悪いけど、俺らのグループと遊ぼう。」

「へっ!?」

「向井、携帯持ってるんでしょ? 着いたらきっと連絡くれるよ。」

「で、でも。」

「二時間も待ったんだから、もういいでしょ。」

「そ、そうだけど.......。」

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