君を選んだから
笑顔で明るくそう言われたら、何だかそんな気もして来た。

春になったとは言え、まだ少し肌寒い陽気の中、私は遊園地の最寄り駅の改札で、二時間も匡史を待ち続けた。


悪いのは、何の連絡も寄こさない匡史の方。

遊園地の中から、立原くんに見つけてもらえたのはラッキーだよ。

手を引かれ、連れて行かれた先にいたのもみんな同じ高校の子だったし、とりあえず、匡史から連絡があるまでは合流させてもらっちゃおう。


キッカケはそんな軽い気持ちだった。

ちょっぴりヤケクソ気味ではあったけど、これはこれで楽しかったし、別に悪いことをしているつもりはなかった。

途中までは。


だけど、どのアトラクションも私の隣は立原くんで、いつの間にか他の男の子たちはフェードアウトしていて、気付いたら二人きりで遊んでるみたいな状態になっていて.........

その時には、さすがに罪悪感を感じた。


いや、でも、それ以上でも以下でもないから、聞かれれば、どうしてそうなったのか、きちんと説明は出来るはず。

立原くんはどういうつもりなのか知らないけど、疚しい気持ちはないし、元はと言えばこれも匡史のせいだし。

だから、私は悪くない..........よね?


でも、この場面を匡史が見ちゃったとしたら、絶対、面白くはないはずだ。

って言うか、やっぱり誤解したり、悲しんだりするのかな。

だったら、良くないかも.........?

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