君を選んだから
その次の登校日に、匡史は来ていたらしい。

でも、私を避けているのか、顔を合わすこともなく帰ってしまい、この日もそばにいてくれたのは、やっぱり立原くんだった。


もちろん、仲の良い女友達も何人かは登校していたけど、あの日の事情を知っている立原くんに慰められるのは一番安心した。

元々、立原くんは匡史と仲が良い方だったし、私たちと一年、二年とクラスが同じだった。

私たちが愛し合ってることも、ちゃんとわかってくれてると思ってたから。


だけど、それは取り返しのつかないレベルの勘違いで、私の軽率な行動のすべては、この後迎える悲しい結果に結びついていた。

この段階ではまだ匡史が私を無視する意味に気付いていなかったし、どれだけ傷付けていたのかもわかっていなかった。

自分だけが可哀想な被害者なんだと思いこんでいたから。


そして、ついに迎えた卒業式当日。

相変わらず、匡史とは連絡が取れないままだ。

辛いの、苦しいのにもだんだん慣れが生じ、私は自分の本当の気持ちが何処にあるのかさえ、よくわからなくなって来ていた。


これ以上放っておかれるなら、別れるしかないっていう覚悟も出来始めていた。

でも、それならそれで、謝ってほしいと思っていた。


嫌いになったのなら仕方ないけど、どうしてそうなったのか教えてほしかった。

あんなに楽しそうに計画しておいて、無視し続けた理由を聞きたかった。

それから、何とかして、最後に顔が見たかった。
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