君を選んだから
卒業証書授与の時、久しぶりに見た匡史は少し痩せた気がした。

匡史は匡史なりに、悩んだりとかしてたのかな?


だとしても、簡単には許せない。

私の気持ちも知らないで。

二年半もの間、匡史だけを思い続けた私の高校生活は何だったんだろう。

こんなにこんなに、大好きだったのに..........


そう思ったら、涙が止まらなかった。

高校生活とサヨナラすることが、イコール匡史との別れになっちゃうなんて。


私の何がいけなかったの?

それを直せば、いつもみたいに笑ってくれるの?

「ゴメン」って言って、大袈裟なくらいギュってしてくれるの..........?


式が終わった後、校庭に出て、すっかり沈んだ気持ちをゴマかし、一生懸命笑って写真をいっぱい撮った。

卒業生も在校生も混ざり、校庭には涙交じりの笑顔が溢れている。

気にして見ているつもりなのに、そこに匡史の姿は見当たらない。


私たち、これで終わっちゃうのかな。

今、ここにいないってことは、匡史はそれでいいんだよね?

もう本当に、どうにもならないのかな..........


ふと笑顔を作るのを忘れそうになった瞬間、誰かに手を握られた。

ハっとして、一瞬、テンションが上がったけど、私にはすぐわかった。


この感触は、匡史じゃない。

この手は匡史じゃない。

じゃあ、この手は誰の手..........?

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