君を選んだから
「でも、なんで?」

「え?」

「いきなり、変なこと聞くから。」

「え、だってさ。向井くん、絶対、お前のこと、好きだと思う。」

「どうして?」

「態度でわかるだろうが。あれだけ嬉しそうにしてたら。」

「そうかな?」

「そうだよ、わかるもん。これってある意味、男のロマンだよね。高校の時、好きだった女の子に、大人になってから、偶然、仕事先で再会。そして、気持ちが再燃。しかも、今って、仕事でカッコ良いところ見せられる最大のヤマ場な訳じゃん? 」

「.........。」

「いいなぁ。毎日、絶対、楽しいよね。マジでドラマみたいじゃね?」

「その通りだったらね。」


何なのよ、突然。

私と匡史をくっつけたい訳?


確かに匡史の態度を見てると、もしかしたらそうなのかなって気がしないでもないけど、それはやっぱり懐かしいからでしょ。

再会したばかりだし、匡史は今の私をよく知らないんだから、好きとかどうとか、そんなのまだわからないってば。


それに酷いよ。

好きな人に、他の男子を勧めるようなこと言われちゃった私の立場は?


知らないとは言え、グサっと来る。

ってことは、私の気持ちになんてこれっぽっちも気付いてないってことでしょ?


それらしい素振りを見せない私も悪いけど、これだけ一緒にいたら、いい加減、何か感じないかな?

と言うか、須賀くんは私なんかに興味がないのかな..........



< 91 / 188 >

この作品をシェア

pagetop