君を選んだから
ニコニコしながらサラダを取り分けてくれる須賀くんをボ〜っと眺めながら、すっかり恋する乙女モードに入っていたら、部屋の入り口にかかっている暖簾がペラっと捲れ上がった。

顔を向けると、暖簾の中から、ホっとしたように微笑んでいる匡史の顔が見える。


「おっ、お疲れ!!」

「遅くなってゴメンね。」


ちょっぴり切ないような甘いような絶妙にキュンとする空気が流れてたのに、匡史の登場で、それも一気に消失。

残念だけど、仕方がない。


「じゃあ、まずは乾杯。無事陳列終了、お疲れ様でした〜!!」

「ありがとうね!! マジで。」


何だろう、この感じ。

普通に飲んでるだけなんだけど、すごく楽しそう。

この二人って、多分、ハイテンションになるスイッチとか、笑いのツボとかが近いんだろうな。


見ようによっては、男子高校生がキャッキャッと騒いでるみたいな?

うちの営業所にも同期の男の子はいるけど、須賀くんがこういう風にしてるのは初めて見たかも。


「良かったね。須賀くんも、匡史も。取り引き先とこんなに仲良くなるとか、なかなかないよね。」

「そうだね、ラッキー。」

「最近は、取り引き先とあんまり飲みに行くなっていう上司もいるくらいだからね。」

「なんで?」

「情報漏洩とか接待問題とか、いろいろあるみたいだよ。」

「ふ〜ん。」

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