Heaven~第三章~
「そうなんだ」

「そっ、だから会田さんが俺らに任せたってことは、ある程度は許されるってこと」

「ある程度って?」

「殺さない程度って意味だ」


そう答えたのは顔色一つ変えない嵐だった。
ここに居る中で嵐だけは、人の生死に一番近い所に居るんだろう。


「で、どうする?」


嵐の視線は私からすでに獅朗へ移っていた。


「そうだな……アイツは殺すよ」

「え?殺すって、ちょっと獅朗」

「本当に殺す訳じゃねーよ。今居るアイツの世界から抹消するって意味だよ。人の目を気にして、死んだように生きて、自分から死にたくなるようにな……」


獅朗の低く怒りを感じる言葉と、
私を見ようとしない横顔にゾクッと震えた。


今までこんな獅朗を見たことがない。
でも、不思議と怖いとは感じなかった。
それはきっと、獅朗の気持ちを知っているから。


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