Heaven~第三章~
「ほら、椿帰んぞ」

「あっ、うん」


女の姿が見えなくなってから雅近が「マジ面倒な女」と吐き捨てるような言葉を言った。


「彼女と寝たの?」

「何、ヤキモチかよ」

「本当に脳天気だよね。そのうち刺されるよ」

「そんなヘマはしねーよ」

「呆れるよ」



きっと雅近は気にしていない。
罪悪感なんて感じていないんだろう。


騙される奴がバカなんだくらいにしか思っていないんだろう。
実際、私もそうだったし。


楽しければ平気で嘘をつく。
自分を守るためなら平気で裏切る。
けど、その代償は思いのほか大きかった。


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