エリートな彼と極上オフィス
がく、と脱力したのがわかる。
もっと建設的な提案をしてもらえると思っていたんだろう。
先輩は気を取り直すように顔を上げて、少しの間、何か言おうとしていたようだったけれど、やがてあきらめた。
「…好きにしろよ」
やった。
もう先輩が愛しすぎてすっかり昂っていた私は、カップをベンチに置いて、首にぎゅっと抱きついた。
コート越しでも、案外体温て、感じるものだ。
そんなことを考えていたら、ぽんぽん、と私の手を、先輩が叩いてくれた。
「聞きたくないかもしれないけど、やっぱり俺は謝りたいよ」
「謝っていただく必要なんてないと思ってますが、そんなに言うなら聞きますよ」
かえって言いづらくなったのか、先輩が黙る。
「ちなみに欠片でも、覚えてるですか?」
「…覚えてない」
「そりゃよかったです」
なんで、と憮然とした声が訊く。
「内容を覚えてたらたぶん、自己嫌悪でここにも来られてないと思いますよ」
先輩が前傾姿勢になったため、ずるずると私も体重を預ける結果になった。
ごめん、と小声で繰り返すのが聞こえる。
「怖い思いしたろ、ごめんな…」
「気にしないでくださいってば」
「酒入った状態でやった後、死ねって言われたこともあるから、どんなだったか想像ついてる。お前にはすごい負担かけたと思う、ごめん、本当に」
「いや、そこまでではなかったですけど」
何やらかしたんですか、それ。
私がフォローめいたことを言ったせいか、先輩がちょっと浮上した。
「俺、酷いことしなかったか?」
「何を酷いと言うかによりますが、まあ全体としてみれば私は、ラッキーと思ってましたよ、相手、先輩ですもん」
もっと建設的な提案をしてもらえると思っていたんだろう。
先輩は気を取り直すように顔を上げて、少しの間、何か言おうとしていたようだったけれど、やがてあきらめた。
「…好きにしろよ」
やった。
もう先輩が愛しすぎてすっかり昂っていた私は、カップをベンチに置いて、首にぎゅっと抱きついた。
コート越しでも、案外体温て、感じるものだ。
そんなことを考えていたら、ぽんぽん、と私の手を、先輩が叩いてくれた。
「聞きたくないかもしれないけど、やっぱり俺は謝りたいよ」
「謝っていただく必要なんてないと思ってますが、そんなに言うなら聞きますよ」
かえって言いづらくなったのか、先輩が黙る。
「ちなみに欠片でも、覚えてるですか?」
「…覚えてない」
「そりゃよかったです」
なんで、と憮然とした声が訊く。
「内容を覚えてたらたぶん、自己嫌悪でここにも来られてないと思いますよ」
先輩が前傾姿勢になったため、ずるずると私も体重を預ける結果になった。
ごめん、と小声で繰り返すのが聞こえる。
「怖い思いしたろ、ごめんな…」
「気にしないでくださいってば」
「酒入った状態でやった後、死ねって言われたこともあるから、どんなだったか想像ついてる。お前にはすごい負担かけたと思う、ごめん、本当に」
「いや、そこまでではなかったですけど」
何やらかしたんですか、それ。
私がフォローめいたことを言ったせいか、先輩がちょっと浮上した。
「俺、酷いことしなかったか?」
「何を酷いと言うかによりますが、まあ全体としてみれば私は、ラッキーと思ってましたよ、相手、先輩ですもん」