エリートな彼と極上オフィス

「念のため確認したいんだけど、ほんとに俺のこと好き?」

「そこからですか、ほんとに好きですよ」



だいぶ根底に立ち返って悩んでいたらしい。

先輩は生真面目に言葉を継いだ。



「俺、考え足りなくて、お前に不快な思いいっぱいさせるよ、今までも散々させてたと思うけど…」

「別にいいですよ、我慢ならなくなったら言いますんで」

「今さらなんだけど、考えだしたら、お前が俺のどのあたりを好きなのか、さっぱりわかんねえって話で」



女子か、と言いたくなったけれど、どうやら本気で懊悩しているようなので、黙って先を聞くことにした。

先輩はもじもじと落ち着かない。



「たぶん買い被られてんだろうなとか、だとしたらいつかそれも終わるなとか、そういうつまんないこと、いっぱい考えてた」

「はあ」

「くだらないと思ってんだろ、でも俺はそういう奴なの。お前だってそのくらい、もうわかってるだろ? それでもいいんだろ?」

「もちろんです」

「そう思ったら、あれっ、次は俺の番じゃんって」

「だいぶ前から先輩の番だったんですけどね」

「そうなんだけど…」



壁に貼りつくようになりながら、先輩がうつむいた。



「俺、やっとそれに気がついて、そこからいろいろ、すげえ考えて、俺なりの結論、出したんだよ」

「どうしてそれを、教えてくれる気になったんですか」

「わかんねーよ、衝動的に書いてた…」

「私はわかりますよ」

「そうなの、なんで?」



素直に首をかしげる先輩を、食べてしまいたいと思いながら、偉そうに断定してみる。



「好きって気持ちは、たまに爆発的に発生して、溢れるんです」



私がそうだった。

あの時はたまたま口から洩れたけれど、別の漏れ方をする例も、あるに違いない。

たとえば行動とか、視線とか。

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