エリートな彼と極上オフィス
先輩が身体を起こして、Tシャツを脱いだ。

後ろ襟を引っつかんで脱ぐ仕草が、男の人っぽいなあなんて考えていると、目が合う。

なんだよ、と不思議そうにしながら、再び先輩が私の頭の横に手をつくと、絡まった髪が揺れて、さらっと元に戻った。



「なんか笑っちゃうんですが、わかります?」

「わかるよ、俺も今そんな感じ」

「おかしいわけじゃないんですけど」

「わかる。まあ今のうちに笑っとけ、すぐそんな余裕なくなるから」

「やっぱり何かする気じゃないですか」

「何かはするんだよ、当然」

「話がちが」



口を塞ぐようにキスをされた。

奥の奥まで貪る、征服欲に満ちたキス。


先輩はやっぱり、しているうちにお酒が回ったらしい。

だんだんと奔放になり、好き放題しはじめ、音を上げた私が小休止を提案しても、明るく無視した。



「うー、やばいな」

「なんですか」

「今までで最高ってくらい、気持ちいい」

「そりゃ、よかったです…」



噛みつかれ、転がされ、嫌だと抵抗したことをすべてやらされ、これで報われなかったらやってられない。

不慣れな身体は、息が詰まるような違和感を時折もたらしながらも、先輩の“本気”とやらのおかげか、やがて溶けた。


とろとろとかすむ意識の中、先輩、とすがりつくたび、ん? と返事をしてくれる。

それがたまらなく幸せで。



「先輩、好きです」

「ん、俺も」



好きですよ。

俺もだよ。


飽きるほど繰り返した。


それが欲しかったんです、先輩。

一年間、その言葉を待ってたの。


私の好きな先輩が、私の好きな笑顔で、私の好きな声で、そう言ってくれる時を切望していた。

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