エリートな彼と極上オフィス
【家着いた、幹事お疲れ】
【お疲れ様でした、明日お釣りお渡しするのをお忘れなく】
【お忘れないのはお前だろ】
【AM中に申請がなければ着服します】
【おい】
【私も家着きました】
【お前んちも近いね】
【なんちゃって、着いたのは先輩の家です】
【やめろ、怖い】
【8階でしたかね?】
【怖い】
【冗談です、おやすみなさい】
【おやすみ、また明日】
【ちゃーらーらーらーらーらーらーらー】
【何?】
【『お休み、また明日』は某有名RPGの宿泊時のBGM名です】
【寝てくれる?】
──────
翌朝、コウ先輩は立ち寄りだった。
私は忘れないよう、封筒に昨日の送別会の会費のお釣りを入れて、隣のデスクの引き出しにそっと忍ばせた。
この飲料メーカーの"元"広報室は、最近引っ越したばかりの新社屋の最上階にある。
壁一面を覆う開放的な窓から、都心の緑が一望できる。
中は最近話題のフリーアドレスというシステムを導入しており、メンバーには固定の座席がない。
フロア内に点在するテーブルを好きに使い、好きにそこで仕事をする。
「お疲れ、ちょっといい? 今日の共有」
ぷっくりしたCの字みたいな形のテーブルはキャスターで軽やかに動き、繋げて輪にすることもできる。
もうすぐお昼という頃、社内資料を作っていた私のテーブルに、がちゃんと乱暴にテーブルがドッキングされた。