エリートな彼と極上オフィス
先輩には、そこにいてほしい。
私をあくまで、職場の後輩として見る、先輩でいてほしい。
そんなあなたに惚れたのですから。
「おい、頼むよ…」
先輩が途方に暮れるのを見ながら、私はストローをくわえたまま、視界が潤むに任せた。
たぶん涙はこぼれないだろう。
そのくらいの良識と根性はある。
「なんで泣くわけ」
だって私は、失恋したんですよ。
生まれて初めての失恋を。
そこそこ幸せな失恋を。
今だけ乙女心に浸らせてください。
昼休みが終わったら、元に戻りますから。
先輩はおろおろするかと思いきや、さっと紙ナプキンを取って、私のほうへ手を伸ばした。
まるで子供の鼻が出ているから拭くみたいな、さも当然のような仕草が、彼らしいと思った。
「俺が嫌で泣いてるんじゃないよな?」
たぶん半分冗談で、半分本気で心配してる。
つい笑うと、弾みで転がった涙を、先輩が拭いてくれた。
その瞬間。
私は絶叫した。
その夜、久しぶりに先輩からメッセージが来た。
【どうよ?】
【薬で落ち着いてます、お騒がせしました】
【抜くの?】
【削った上から差し歯で済むそうで】
【歯磨けよ】
私をあくまで、職場の後輩として見る、先輩でいてほしい。
そんなあなたに惚れたのですから。
「おい、頼むよ…」
先輩が途方に暮れるのを見ながら、私はストローをくわえたまま、視界が潤むに任せた。
たぶん涙はこぼれないだろう。
そのくらいの良識と根性はある。
「なんで泣くわけ」
だって私は、失恋したんですよ。
生まれて初めての失恋を。
そこそこ幸せな失恋を。
今だけ乙女心に浸らせてください。
昼休みが終わったら、元に戻りますから。
先輩はおろおろするかと思いきや、さっと紙ナプキンを取って、私のほうへ手を伸ばした。
まるで子供の鼻が出ているから拭くみたいな、さも当然のような仕草が、彼らしいと思った。
「俺が嫌で泣いてるんじゃないよな?」
たぶん半分冗談で、半分本気で心配してる。
つい笑うと、弾みで転がった涙を、先輩が拭いてくれた。
その瞬間。
私は絶叫した。
その夜、久しぶりに先輩からメッセージが来た。
【どうよ?】
【薬で落ち着いてます、お騒がせしました】
【抜くの?】
【削った上から差し歯で済むそうで】
【歯磨けよ】