エリートな彼と極上オフィス
元営業の本音が漏れてる。
私は寄っていって背中を叩いた。
「あ、えっ」
「偶然です、先輩」
私と先輩の家は路線が違うけれど、双方から最も近い大きな駅は、ここだ。
そのうち会うかもな、なんて話していたくらい、可能性はあったわけだけど、実際起こったことはなかった。
なので先輩は、一瞬まごつき。
その後、これはどう受け止めたらいいのか迷うところなんだけど、湯田、と明らかにほっとした声を出した。
「お前も買い物?」
「久々に晴れたんで」
お前もということは、そちらも?
私が女性の先輩に視線をやるのと、その先輩がじれたようにコウ先輩の袖を引くのは、同時だった。
「あ、こいつ同期、カスタマー企画部の中川(なかがわ)。こっちは湯田っていう、俺んとこの」
「え、嘘っ、IMC様?」
IMC様と来たか。
まあ慣れっこだけど、コウ先輩もさすがに渋い顔を隠さない。
中川さんもまずったと思ったのか、にこっと私に微笑んだ。
「山本くんがいつもお世話になってます」
来たっ、宣戦布告。
「こちらこそです」
「すごいですね、IMCなんて」
「もう山本先輩にご迷惑かけっぱなしで」
コウ先輩が笑う。
「なんで、自力で食いついてきてるだろ、お前」
「いやいや、必死です」
先輩、ここで私と会話したらダメですって。
中川さんの顔、見てくださいよ。
社内便でカミソリ送られてきたら、先輩のせいですよ。
とはいえ私にはどうすることもできない。
というか、そこをどうにかする意思はない。
私は寄っていって背中を叩いた。
「あ、えっ」
「偶然です、先輩」
私と先輩の家は路線が違うけれど、双方から最も近い大きな駅は、ここだ。
そのうち会うかもな、なんて話していたくらい、可能性はあったわけだけど、実際起こったことはなかった。
なので先輩は、一瞬まごつき。
その後、これはどう受け止めたらいいのか迷うところなんだけど、湯田、と明らかにほっとした声を出した。
「お前も買い物?」
「久々に晴れたんで」
お前もということは、そちらも?
私が女性の先輩に視線をやるのと、その先輩がじれたようにコウ先輩の袖を引くのは、同時だった。
「あ、こいつ同期、カスタマー企画部の中川(なかがわ)。こっちは湯田っていう、俺んとこの」
「え、嘘っ、IMC様?」
IMC様と来たか。
まあ慣れっこだけど、コウ先輩もさすがに渋い顔を隠さない。
中川さんもまずったと思ったのか、にこっと私に微笑んだ。
「山本くんがいつもお世話になってます」
来たっ、宣戦布告。
「こちらこそです」
「すごいですね、IMCなんて」
「もう山本先輩にご迷惑かけっぱなしで」
コウ先輩が笑う。
「なんで、自力で食いついてきてるだろ、お前」
「いやいや、必死です」
先輩、ここで私と会話したらダメですって。
中川さんの顔、見てくださいよ。
社内便でカミソリ送られてきたら、先輩のせいですよ。
とはいえ私にはどうすることもできない。
というか、そこをどうにかする意思はない。