エリートな彼と極上オフィス
次々みんなが火をつけると、あたりは火薬の匂いが立ち込めた。
小さな頃身近にあったわけでもないのに、不思議と懐かしく感じる匂い。
私は程よくほとばしりそうな一本を選び、セメントのたたきに固定されたろうそくで火をつけた。
「消えるまでに3回願い事書けたら叶うとか、言ったよな」
「どこの女子ですかあ」
いい年した大人が、そんな会話をしていると笑ってしまう。
試しに人のいない中空に向けてくるくると花火を回してみると、なるほどちょっとした文章くらいなら書けそうな気がする。
ふむ。
「俺のこと書くなよ」
突然真後ろから、ひそめた声が鋭く飛んできた。
びっくりして振り向くと、先輩が立っていた。
目が合うと、あ、と驚いた顔になり、それがこんな暗さでもわかるくらい、みるみる赤くなっていく。
ついには、ごめん、とつぶやいて、顔を覆ってしまう始末。
「…書きませんよ、こんなところで」
「だよな、ほんとごめん、悪い」
ごめん、と頭を抱えてしゃがんでしまう。
その隣に私もしゃがみこみ、耳元に吹き込んだ。
「そういうことするから、好きなんですよー」
他の人には聞こえないよう、そっと。
でも先輩には聞こえるよう、はっきりと。
腕の間から、じろりとにらんできた。
「お前、なんなんだよ、最近急に」
「我慢しないことにしたんです」
「なんで?」
我慢しても誰にもいいことないってわかったからです。
もう二度と言わないって、最初に言った後、思ったけど。
それでも私は先輩を好きなままだろうし、先輩もそれを感じざるを得ないだろうし。
だったら出しちゃったほうが、双方ストレスがないかなと。
小さな頃身近にあったわけでもないのに、不思議と懐かしく感じる匂い。
私は程よくほとばしりそうな一本を選び、セメントのたたきに固定されたろうそくで火をつけた。
「消えるまでに3回願い事書けたら叶うとか、言ったよな」
「どこの女子ですかあ」
いい年した大人が、そんな会話をしていると笑ってしまう。
試しに人のいない中空に向けてくるくると花火を回してみると、なるほどちょっとした文章くらいなら書けそうな気がする。
ふむ。
「俺のこと書くなよ」
突然真後ろから、ひそめた声が鋭く飛んできた。
びっくりして振り向くと、先輩が立っていた。
目が合うと、あ、と驚いた顔になり、それがこんな暗さでもわかるくらい、みるみる赤くなっていく。
ついには、ごめん、とつぶやいて、顔を覆ってしまう始末。
「…書きませんよ、こんなところで」
「だよな、ほんとごめん、悪い」
ごめん、と頭を抱えてしゃがんでしまう。
その隣に私もしゃがみこみ、耳元に吹き込んだ。
「そういうことするから、好きなんですよー」
他の人には聞こえないよう、そっと。
でも先輩には聞こえるよう、はっきりと。
腕の間から、じろりとにらんできた。
「お前、なんなんだよ、最近急に」
「我慢しないことにしたんです」
「なんで?」
我慢しても誰にもいいことないってわかったからです。
もう二度と言わないって、最初に言った後、思ったけど。
それでも私は先輩を好きなままだろうし、先輩もそれを感じざるを得ないだろうし。
だったら出しちゃったほうが、双方ストレスがないかなと。