エリートな彼と極上オフィス

「その考えが勝手だって言うんだ」

「なら先輩のは驕りです。好きと言われたら、自分もだよと返す以外、相手のために何かできるなんて考えないことです」

「へえそうか、ずいぶん偉いんだな、言ったほうってのは」

「自分だけが心を痛めているような顔しないでくださいよ」

「だけなんて言ってない」

「だったらもう少し配慮いただきたいですねえ」



よくない方向に転がっているのを感じていた。

心の隅にあった不安とかつらさが、不必要に攻撃的な言葉となって次々出てくるのを、自分でも制御できずに。

ダメだ。

この流れはダメだ。



「お前、自分がどれだけ無責任なこと言ってるか、わかってるか?」

「責任なら感じてますよ、でもどうすればいいんです? あれは嘘でしたって取り消せばいいですか?」

「その態度はないだろ」

「ご自分を顧みてください」

「お前は俺に、どうしてほしいんだ」

「少しは自分で考えてくださいよ、なんでもかんでも私が言わなきゃならないんですか? 望みもないのに?」



ああ、ダメだ。

私、こんなこと思ってたんだ。

こんな傲慢で勝手な奴だったんだ。



「私はもう、打てる手は打ちました、次は先輩の番です」

「逆ギレの上に丸投げか」

「どうしろってんです!?」



大きな声を出すのは、自信がないからだ。

勝手な訴えだと、自覚しているからだ。



「私こそ、どうしたらいいか教えてほしいですよ、自分なりにベストを尽くした結果が今です」

「俺だって、何かできないか考えたって言ったろ!」

「そんなに考えなきゃ出てこないようなこと、してくださらなくていいです」



何か無理にしてほしいわけじゃない。

でも何をしてほしいかなんてわからない。

私は逃げるように腰を上げた。

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