エリートな彼と極上オフィス
「情報多くて頭が疲れたな、一杯飲んでくか」
「あ、すみません今日は、千明さんと会場の下見に…」
じっとりと先輩が私をにらむ。
いや、仕方ないじゃないですか。
いくら私だって、いつもいつもコウ先輩最優先てわけにはいかないですよ。
流れで入った向かいのコンビニで、終業までの繋ぎにとスナックを買う間も、先輩はなんとなく、むっつりとご機嫌斜めだった。
この人、私のことをなんだと思ってるんだろう。
「おっ」
「よお」
店を出ようとして、まさにその千明さんとばったり出くわした。
先輩と気軽に挨拶を交わした千明さんは、私ににこっと微笑む。
「後でね、湯田ちゃん」
遊んでるでしょ、千明さん。
あああ、もうほら、先輩の顔。
露骨に面白くなさそうな先輩に、さすがに私も口を開いた。
「言っていいですか」
「ダメだ」
「そういう顔をする資格がですね、ご自分にあると」
「ダメだって言ってんだろ!」
子供か、この人!
話は戻るけど、ふたりで遊びに行ったのは、本当に本当に楽しかった。
なんで私が果物狩りを提案したかというと、舞い上がりすぎてまともに喋れないんじゃないかと思ったからだ。
そんなことになっても、ある程度成立するようなアクティビティにしておきたかった。
でも実際は、私だけがはしゃいで空回り、なんてことにはならなかった。
先輩も相当にはしゃいでいたからだ。
『テンション高いですね』
『え、だって楽しくない? 天気いいしくそ暑いし、こういう日に遊びに出かけるとか、俺すげえ上がるんだけど』