エリートな彼と極上オフィス
「つまんなそうな顔しやがって、俺たちじゃ相手にならんか」
「そんなつもりは」
「いなくなって気づいたが、あいつは本当に、まだ若かったんだなあ」
いなくなってませんて。
「わかる、若さって伝染するよな、山本が休みだしてこっち、俺、年食った気がするよ」
「何を辛気くさい話してらっしゃるんですか」
千明さんがどこからともなく現れ、違う若いのが来た、ともてはやされた。
困惑に眉をひそめて、千明さんが私を見る。
「山本から連絡あった?」
「いえ…」
「電波入んないのかなー」
それは離島をなめすぎってものだろう。
「だって島の暮らしって、そんなイメージじゃない?」
「まあ、サザエは海で拾うもの、みたいな異文化感はありますね」
「ガソリンめちゃくちゃ高いとかね」
「信号が、教育のために一基あるだけとか聞いたことあります。知らないとよそで困るから」
「湯田ちゃんてそういう情報、どこで仕入れるの?」
お互い様でしょう。
そんな、なんということはない話をしながら、同じこと考えてるんだな、と感じた。
コウ先輩には、なんだか似合わない。
さらっとスーツを着こなして、都会でぱりぱり働く先輩に、早く戻ってほしい。
先輩。
私のこと大事だって、言ってくれたくせに。
なら声くらい、聞かせてくださいよ。
心配で、寂しくて。
どうかなりそうです。