徒然なるままに、短歌部
「例えば、俺があーだこうだ言って、万智ちゃんはその通りだと思うのかい?」
どういう意味なのかもちろんわからない。
「いいかい? 例えば、その万智ちゃんが詠んだ作品を見て、俺が『いや、ここはこうした方がいい』って言うとする。でも、万智ちゃんはそれで納得するのかい?」
「納得しますよ、もちろん。だって、先輩はあんなにすごい短歌書けるじゃないですか」
私がよいしょしても、サラダ先輩の渋面は変わらない。
「じゃあ、もしそれが何かの雑誌の編集者ならどうだい? その編集者に『こういう風にしたほうがよくなる』と言われて、それで『はいそうですね』と言って、その通りにするのかい?」
「もちろんそうしますよ」
サラダ先輩は、私に指差し、言った。
「そこだよ。君と俺の価値観の違い」
価値観の違い?