徒然なるままに、短歌部
「サルワタリさん……」
「だから、サワタリですよ!」
戸松先輩は相変わらず私の名前を覚えてくれない。
「それで、順調なのかい?」
「何がですか?」
「短歌だよ。約束しただろう? まさか、詠んでいないのか?」
戸松先輩は、普段よりも疲れているのか、頭を抱えている。
「戸松先輩こそ、なんか元気ないですね。疲れてるんですか?」
「まあね」それ以上は何も言わなかった。
「で、私がここに来た理由ですが、一つお聞きたいことがありまして……」
「なんだ?」まだ頭を抱えている。
「サラダ先輩は、なぜ文芸部を辞めたんですか?」
「ん?」頭から手を離した。