徒然なるままに、短歌部
「サラダ先輩は、以前は文芸部にいたんですよね? 執筆メモを渡しに来たときに『埋もれる才能』って呼ばれていたみたいなひそひそ話を聞いたので」
『埋もれる才能』というワードで周りの文芸部員がざわざわとし始めた。ただ、一人例外がいて、執筆メモを落としたチャラい2年生、賀来先輩だけは、私に向かってピースしている。
「おっほん」戸松先輩が咳をし、再び静かになった。
「ああ、確かにそうだ。彼は1年生の時、僕と同じタイミングで文芸部に入部した」
「それで、サラダ先輩はいつ文芸部を辞めたんですか?」
「1年生のこの時期だから11月さ。君の名前は覚えられないけれど、これは間違いない。あれはコンクールで賞を受賞してすぐだったからね。1年生で審査員特別賞を受賞したのだから、大したもんさ」
多分、嫉妬していたから覚えていたんじゃないかなと思う。あの戸松先輩が嫉妬をすれば、しつこそうだ。11月に辞めたというのは、きっと間違いないのだろう。
「なんで辞めたんですか?」
「君が知ってどうする?」
尤もな意見だ。