徒然なるままに、短歌部
「なんや、長我部。今日は一人やないんか?」
加持と呼ばれた人は、初対面にも関わらず、ここのウエイターにも関わらず、私の隣にドカッと座った。サラダ先輩と同じ匂いがした。
「んで、この可愛い子ちゃんは誰や? うちの一年みたいやけど」
私を凝視する。キスができそうな距離だ。
「で、何カップ?」
私にそう聞いた加持という人の表情が次の瞬間、崩れた。バコンッという音とともに。
「あんた、私の可愛い万智ちゃんに何て質問してんのよ!」
加持という人は、頭をさすりながら「堪忍やで~」とヘラヘラしている。
「彼女は、短歌部一年の猿渡万智ちゃん」
「短歌部? ほな、サラダの後輩か?」
加持という人は、どうやらサラダ先輩のことはもちろん、短歌部のことも知っているらしい。