徒然なるままに、短歌部
そこで、私は、「断るなら戸松くん、あなたが部室を探しなさい」と言った。
「とっておきの場所がある」と戸松くんが言った。それが、あの屋上の壁にある隠し扉の部屋だった。
以前は、教師たちの隠れ喫煙所になっていたらしいが、今は使われていないらしい。それどころか、家具もしっかりそろっていて、誰か住んでたんじゃないかとさえ思わせるほどの生活感が漂っていた。
私は反対した。こんな場所を使わせるわけには生徒会として許せない……と。
しかし、裃は気に入り、ここを使うことに決めた。
「短歌部に入れば更生は終わりだろう? 部室まで制限されるとなると話が違う」と主張したのだ。
裃が短歌部に入ってから、私は短歌部の部室にちょくちょく出入りした。
煙草を取り締まるとか、部室の使用を禁止するとか理由をつけたが、実際は、ちゃんとやっているか心配をしていたのだ。
こうして、私の叶えたかった「短歌部の復活」と生徒会の仕事である「裃更太を見張ること」を達成し、尚且つ更生してみせたのだ。