徒然なるままに、短歌部





「万智ちゃん、これはどうやら知っておく必要があるかもしれないわね」




カナ先輩がそう言って、コーヒーを口に含む。




「でも、私、サラダ先輩から言われた一言があって、それがどうしても引っかかるんです」




そう。私はサラダ先輩から言われた言葉がある。




「何なの?」




「この謎を解いてしまったとき、私は短歌部から離れられなくなるかもしれない。そう言われたんです」




ここで言う「謎」がもし、サラダ先輩が短歌部に入った理由なら、私が短歌部を離れられなくなるなんてことにはならない。




むしろ、短歌の才能もやる気もないサラダ先輩と一緒に居たくないとさえ思ったほどだ。




つまり、サラダ先輩の言う「謎」はまだ解けていない。それが短歌部のバックグラウンドにあるとは、現時点では思えないけれど、順番に解いていくとすれば、そこしかない。




「でもそれやったら、解かん方がええんとちゃうか?」




久々に口を開いた加持先輩の言う通りかもしれない。でも、私にはどうもサラダ先輩がそれを解けと言っているようにしか思えないのだ。




それも、短歌部に入ったあの日から、サラダ先輩はずっとそれを望んでいたのかもしれない。




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