徒然なるままに、短歌部





美佐枝先輩はもちろん抗議した。「なぜ短歌部を廃止してまで文芸部を作らなきゃいけないんですか!」とね。しかし、先生の意見は「短歌には需要がない。文芸部として、小説を書いてくれて小説家になってくれた方が学校の名も上がる」と言うんだ。今じゃ考えられないかもしれないけれど、昔はそんな理不尽な時代だったんだよ。例えば、先生に刃向かえば平気で殴られたりもしたもんさ。私も何度も殴られたな。でも、それは愛のムチであって、それとこれとはわけが違う。短歌を詠む人が少ないからって理由で廃部なんて納得いかなかった。




すると、美佐枝先輩は陰で短歌部の活動をしようと提案した。それならば文芸部で無理矢理小説を書かなくても済むからね。翌日、私たちはどこで活動をするかいろいろ悩んだ。どの教室も空いていないし、短歌部の部室は文芸部が使うことになったからね。




そこで、美佐枝先輩が思いついたのは、隠し部屋を作るということだった。





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