徒然なるままに、短歌部
屋上の扉の前に壁があると思うんだけど、あそこは昔、使われていない倉庫になっていたんだ。にもかかわらず、電源が通っていてね。美佐枝先輩はそこに目をつけ、そこを短歌部の私や美佐枝先輩、さらには元女子ソフトボール部も手伝ってくれて、隠し部屋を作った。作り方は非常に簡単で、扉の一部を押せば、扉になるという仕組みだった。実はこの隠し扉は私の案なんだよ。
それからしばらくは放課後、その部屋に集まって活動していたんだ。みんな思い思いの品を持ち寄ったりしてね。さすがにソファーや冷蔵庫を運ぶときは大変だった。先生たちにばれないようにごまかしたりなんかしてね。
しかし、やっぱり大人はよく見ているもんでね。とうとうばれてしまったんだ。
先生たちにはこっぴどく叱られて、それ以来、私たちは短歌に関する活動の一切を禁止されてしまったんだ。事実上、無期限の短歌部活動禁止さ。もちろん、隠し部屋も没収されてしまってね。立ち入り禁止だよ。酷い話だよね。せっかく作ったのに。
美佐枝先輩はもちろん猛抗議した。しかし、先生には融通が利かなかったからもちろん一蹴された。
そこで美佐枝先輩はある事件を起こした。
それは当時、当たり前のようにあった学生運動だった。