徒然なるままに、短歌部
ベンチから少し離れた元々トイレのあった位置くらいから一人の女性が私の方へ歩いてくる。
私に近づくにつれてその女性の姿が浮かび上がってくる。グレーのスウェットを着て、サンダルを履き、メガネをかけている、金髪で大学生くらいの年の女性。ガールズバーで働いていそうで、お酒の強そうな女性で、目を細めて私を見ている。
いや、睨んでいる……。
絡まれる。私は咄嗟にそう思った。
きっと何か変な陰険付けて、私に殴る蹴るの暴力を振るうに違いない。あの目は、『本気』と書いて『マジ』だ。
やだな……とほほ……。
何で今日はこんなにも金髪率が高いのだろう。(加持先輩やカナ先輩の家にいた強面の人達みたいに)
何? え? 金髪感謝デーか何かなの?
トリック・オア・トリートみたいに、トリック・オア・トリートメントとでも言う、お祭りなの?
11月の行事ってピンとこないけど、そうお祭りを詰め込まなくても……。
はあ……。
「あんた……瀬花高よね?」
出た。このセリフ。
絡まれるときに必ず訊かれるセリフだ。