徒然なるままに、短歌部
好きなこと 中編
「過去のお母さんと? どういうこと?」
私は冷静を装って、コップに牛乳を注いだ。
「あんた、文芸部辞めたんだってね?」
お母さんも冷静で、棒針を動かしながら言った。
「辞めたって言うか、左遷だけどね」
「それでもお母さんは知りたかったわ。あんたが短歌部に入ったってこと。長我部くんからじゃなくて、あんたの口からね」
「ごめんなさい」
私は牛乳を一口飲んだ。
「でも、お母さんが短歌部にいたって話、知らなかったし、それどころか瀬花高校のOGってことも知らなかったよ」
「そうよ? 聞かれてないもの」
お母さんは鼻で笑った。