徒然なるままに、短歌部
金属バッドを玄関に置き、晴さんは私をリビングへ通してくれた。大きくて綺麗な家だった。
私は晴さんの淹れてくれたコーヒーを飲みながら事の次第を説明した。
「なるほどねー。それで私のところへ来たわけか」
「はい。そうなんです。何とかなりませんか?」
晴さんは首を掻いて言った。
「とは言ってもねー、今はコンクール用の原稿に加えて、雑誌の連載、さらには演劇部の友達に頼まれた脚本も書いてて、猫の手も借りたいくらいなのよねー」
この時、万智は思った。
全然売れて無くないじゃないですかー! っと。
「まあ、その代わりと言ってはなんだけど、あなたをいい人に会わせてあげるわ!」
そう言って、首を傾げる私を他所に、電話をかけ始めた晴さん。
電話をかけ終わると、住所を書いた紙を渡された。
「ここへ今から行ってみなさい。私なんかよりもずっとためになるはずよ」