徒然なるままに、短歌部
「もう、もったいぶらないで全部一気に言ってください!」
「ああ、そうさせてもらうよ、ありがとう。まずセリフが単調。『こんにちは』って言って、『こんにちは』って返す。そんな光景、日常にあると思うかい? あと、新聞配達の男の子がアルバイトするなら、朝早い時間だろ? 夕刊を配るアルバイトなんかそうそういない。それから……。」
「ぼ、ボロクソじゃないですか!」
「いつものことだろう。誤字脱字も多い。詰め込みたいこと詰め込み過ぎて、必要ないものを削ぎ落とせていない。おまけに段落分けも全然できてない。君、本読んでるの?」
「よ、読んでますよ……。」
「ほお、じゃあ、最近は、何読んだ?」
「え……えっと……『ロミオとジュリエット』……。」
「へー、シェイクスピアか。で、感想は?」
「か、可哀想だなと……。」
本当は読んでない。でもそんなことは言えず……。
まあ言わずと知れたか、戸松先輩はそこまで聞くと、ため息をついて、『レイニーブルー』を机の上に投げるようにどさっと乱暴に置いた。
私の最高傑作を乱暴に……。
「君が文芸部に入部して5ヶ月経ったけどね。小説に向いてないよ、君。」
「ええー!? ちょ、ちょっとそれ、ひどくないですか?」
「いや、ひどいね。けど、君の書いてくる小説の方が格段にひどい。これじゃあ、文芸部の恥だよ、はっきり言って。」
は、はっきり言い過ぎて、もはや暴言だよ……。