徒然なるままに、短歌部
もたれるものがなくなって、私は後ろに倒れそうになったが、何かクッションのような柔らかいものが、私の体重を支えた。
振り返ると、そこにはおっぱいがあった。
ん! このおっぱい、バスト93。と言うことは……。
「あら? 大丈夫?」
大塚先生だ。
「あ、だ、大丈夫です! うへへ」
私は、体勢を戻して、先生の視界にサラダ先輩が入らないようにした。ちょっとでも灰皿を隠す時間を作りたかったのだ。
しかし、先輩は、「どうしたんです?」と言って、慌てる様子はない。振り返ると、やっぱりだ。すでに隠し終わっている。
「あ、いえね。長我部さんがまだ進路希望調査の集計を渡しに来ないから、ここにいるんじゃないかと思ってね。どうやら入れ違いになっちゃったみたいね」
「ええ、今さっき出て行ったんで、そうなりますね」
「そうね。あ、そういえば、あなたたち短歌部なんだってね。学園祭に文集作ったりするの?」
「ま、まあ、直属は文芸部なんで、気が向けば、文芸部の文集に載せてもらうって感じですかねー」
へえー、やっぱり文集って作るんだ。こんな部でも。
大塚先生は「そう。頑張ってね。お邪魔したわ」と踵を返し、部室を後にした。