徒然なるままに、短歌部
戸松先輩は、「はあ~」と深いため息をついて、話し始めた。
「文芸部の部室にいたよ。そこでコンクールに出品するための原稿に朱入れをしてた」
「それを証明できる人は?」
「いるよ。文芸部員が数人いたはずだ」
なるほど……これは戸松先輩は白だな。
「じゃあ、次、長我部。よろしく」
「ねえ、これって本当に言わなきゃダメ?」
「無理にとは言わないけど、その代わり犯人には近づくことになるねえ」
カナ先輩も戸松先輩と同じように「はあ~」と深いため息をついて、話し始めた。
「授業が終わってトイレにいたわよ」
「トイレ? 15:30から15:45の間の15分間も?」
「そ、そうよ!」
「長いと思うんだけど、何をしてたのかなあ? んー?」
「そ、それは……」
「言えないことなのかい?」
「ううっ……た、タイツが伝線したから脱いでたの!」
「それを証明できるものは?」
「な、何か反応しなさいよ!! 戸松もあんたも! 男なら食いつくところでしょうが!」
そう言って、頬を赤く染めたカナ先輩を前に、戸松先輩もサラダ先輩も顔を見合わせて「え? 何?」「さあ?」というやりとりをジェスチャーで送っている。
気持ちわかりますよ、カナ先輩。