徒然なるままに、短歌部





まあでも、こうして見ると、みんなアリバイがあるように見えるけど、約一名、ちょっと怪しい人がいる。




カナ先輩だ。




戸松先輩と大塚先生は、ちゃんと証人もいるから、まず間違いない。でも、カナ先輩には、証人らしき人物はいない。




大体、理由も不自然だ。瀬花高校指定の黒タイツは、破れにくい素材でできているというような話を同級生から聞いたことがある。




そんなタイツが脱がなければいけないほどの伝線を起こすだろうか……。




そう簡単に伝線しないし、もし、仮に伝線したとして、それが放課後である必要はないのだ。




放課後になる前の15:30より前に伝線に気付いて、トイレで脱いでてもおかしくない。




でも、カナ先輩がそんなことするなんて考えられないし、もし、それがサラダ先輩への怨恨の線だったとしても、そんな幼稚なことをする人が生徒会にいるわけがない。




それに……いや、なんでもない。




サラダ先輩は、全員の証言を聞き終えて、腕組をしたままうんうんと頷き、言った。




「よーくわかりました。とりあえず、3分の2までは絞り込めたよ」




3分の2? やっぱり、カナ先輩が……。




「お手数おかけしました。もう帰って大丈夫ですよ」




そう言って、サラダ先輩がポンッと肩に手を置いた人物、それは、大塚先生だった。




「そう? いいのね?」




「ええ、今回は犯人じゃなかったみたいです。すみませんねえ、巻き込んじゃって……」




「いいのよ……ん? ところで、『今回は』っていうのは?」




あっ! サ、サラダ先輩! それ、言っちゃダメなやつ!!





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