徒然なるままに、短歌部
サラダ先輩は、私と戸松先輩、カナ先輩からボッコボコにされながら終始、「じょ、冗談だよ! マイケルジョーダンだよ!」と笑えない冗談を連呼していた。
「で、なんで大塚先生は白で、お二人が黒なんですか?」
「黒とは決まったわけじゃないさ。そうだねえ……灰色ってところかな」
椅子に座って、オセロの駒を指でピーンと弾いてるサラダ先輩を見ながら、私は、この部室って大抵のものはあるなーと思った。
「まあ、大塚先生は、今回は白でいいだろう。前回の一件のことがばれていなければ、動機もないしね」
先輩、その『今回は』ってやめません?
「それに、職員室で日誌を書いていたとしたら、15分の間にここに来るのは、無理だろう。職員室は、この部室のある校舎のちょうど真向かいにあるしね。それに、短歌部に用があるとも思えない」
確かにそうだよね。真向かいの西棟の校舎の1階にある職員室から、東棟の校舎の最上階にあるこの部室に来るのに、15分で行けないことはないけど、その分、日誌を書いていたという印象は、当時職員室にいた先生の間では、薄いはず。
しかも、冷蔵庫を開ける動機も、そもそも短歌部へ行く動機もない。
「長我部さんはともかく。なんで、僕までその、灰色なんだい?」
戸松先輩の言う通りだ。コンクールの出展用の原稿に朱入れをしていたという理由は、大塚先生に似ている。