徒然なるままに、短歌部
そんな僕がなぜ、今、こんなどうでもいいことに時間を取られているのか、わからない。
牛乳プリンがなくなったくらいで、僕が左遷した部員まで呼び出して、一体、裃くんは何を考えているのだろうか。
大体、その面々を探すのに、なぜ僕が協力しなければいけないのか。
無駄な浪費とは、このことだ。
まあ、幸い、瀬花高校が部活動全員強制参加という校則のおかげで、放課後1時間過ぎても、全員集めることができた。
1人目は、三年生の本田くん。僕と同じく文芸部に入部し、楽そうだからという理由は聞き捨てならないが、大胆なアクションの作風で、コンクールでも賞を受賞したこともある人物だ。
しかし、三年生になって、スランプに陥り、リフレッシュ休暇のつもりで、裃くんのところへ送り込んだが、今となっては、それが間違いだった。
どういうわけか、裃くんにパチンコを教わり、やがてギャンブル中毒になってしまい、今では、この辺では有名なギャンブラーとして名を馳せているんだとか。
2人目は、二年生の松田くん。彼も文芸部だったが、彼の作品は気に入らない。どこがどう悪いとかそういう話になると、長くなるが、僕たちを例えるなら、太宰治と三島由紀夫。村上春樹と吉田修一と言ったところだろうか。結局、僕の独断で左遷させた。本当に気に入らない奴だった。
しかし、どういうわけか、裃くんとはウマが合ったみたいで、しばらく徒然なるままに、たまに真面目に短歌を詠んだりしていたらしいが、短歌部が僕の管轄である、文芸部の直属の部署だったことを知り、それではやっていけないという理由で退部。以来、コンピューターグラフィック部でCGを使った映像制作をしているらしい。
3人目は、一年生の豊田さん。サルワタリさんと同期だ。彼女は、恥かしがり屋で、文才はあったが、作品に対して積極性に欠けていた点では、まだサルワタリさんの方がましだった。彼女には、もっと積極性のあるものが必要だと感じた僕は、裃くんに委ねることにした。
しかし、そんな豊田さんがあんな風来坊と上手くいくわけもなく、一日で退部。それからは、書道部で活動しているらしい。
以上の点からわかったことがある。
辞めた原因は、僕と裃くんにあるということが。