甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

「ちょっと休憩しようか」
「そうですね」
「綾仁くんと付き合ったら、大変だね。スポーツできないと楽しめないね、デート」
「そんなことないですよ。相手に合わせます」

そういえばさっきから土手に階段があることが気になっていたので
「あの階段の先って何があるのかな?」
「知らないんですか?」
「うん」
頷くと行ってみますかといたずらっ子な目で私を見た。

階段を昇り少し進むと、大きな沼とそれを囲む木々が広がった。
「沼だったんだ」
「はい。下に降ります?」
「え? 降りていいの?」
「大丈夫ですよ」と階段を続いて降りた。
釣りをしている人も見えて「バス釣りできるらしいですよ」と教えてくれた。

広がる景色が優しくてしばらく眺めていると綾仁くんは言いづらそうに
「あの……」
「ん?」
「華さんのことなんですけど」
「ああ、うん」
声が裏返りそうだ。もう付き合ったのかなと聞く覚悟を決める。

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