甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

「留学とかやめて、バイトを続けたいと伝えたら怒られちゃって。決めたことはやりなさいって。なんていうか、自分が子供過ぎて嫌われちゃったというか、呆れられた気がして」
少し落ち込んでいて話を聞いてもらいたいという様子だった。

「そっかぁ」
「簡単に決めたわけじゃないんですけど」
「まあねぇ……華さんが嫌いになったかどうかわからないけど、きっと、やりたいことはちゃんとやってほしいって思ってるんじゃないかな。それってさ、綾仁くんのこと大事に思ってるから言ってくれたんじゃないかな」

我ながら当たり障りのないことを言ってるものだと思う。というか、二人の関係についてアドバイスができることなんてないし。
ただ慰めてほしいような気がして、その役割を全うしてるみたいで、なんだかなぁ。
そもそも気になっていた彼の片思いの話をどう処理していいかもわからない。

「すみません。弱音吐いて、誰かに聞いてもらいたくて」
「ううん。いつでも言って。話なら聞けるから」

なんかまた顔、ブサイクになってそうだ。いい人ぶって嫌な奴。
やめよう。いい人ぶって話を聞けるなんて言うから、聞きたくないこと言われるんだ。
自分のことさえちゃんとできてない存在に何ができるというのだ。
やめよう、こういうのもうやめよう。
そっちのほうがさっぱりする。
< 102 / 333 >

この作品をシェア

pagetop