甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

二人と別れてから、一杯だけ飲んで帰ろうかなと綾仁くんのお店に向かった。
なんだかモヤモヤして、このまま帰る気分にはなれなかった。

綾仁くんと軽い話をしてから、華さんがカウンターに入る。私に気づき「小千谷ちゃん」と明るく声をかけてくれた。

ふとこの前ここで話していたことを思い出した。華さんが課長と会社の子が昔、何かあったかのような話をしたときに課長が遮ったんだっけ。
あれは、もしかして、若槻のことだったりしたのだろうか。
一度そうだと思い込むとそうとしか思えなくなりそれとなく尋ねてみる。

「華さん、聞いていいですか?」
「えー、何、何?」
「あの、この前、課長が職場の子と飲みに行くとか行かないとか話をしたときに華さん何か言いかけましたよね。私は、だいぶ前に何か会社の子とあったような感じに聞こえたんですけど。覚えてますか?」
「んー。なんだっけな」
「華さんが言いかけたのを、課長が忘れたって止めたから、結局なんの話かわからないんですけど。何か今、気になって」
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