甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

課長は面食らったように
「なんだよ、急に」
「思ったことを伝えただけですよ」
「調子狂うな。本当に、お前は」と目を逸らした。

「課長が調子狂うとかあるんですか」
笑うと真顔で
「あるよ。小千谷には調子狂わされっぱなしだ」
と言った。

しっかり見つめられていたので、ドキッとしてしまう。

「え、本当ですか? どういうときに?」
「そうだな。資料渡せって言ったら、旅行のパンフレット渡されたりとか。
酔っ払って送ったら家の鍵をブラジャーにしまわれて帰れなくされたり、泥棒が入ったって呼び出されたら元彼との別れ話に立ち会わされたりとかな」
「なんか全て私の黒歴史なんですけど」
耳を塞ぐ。
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