甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

本当に、色々されてきたけどと呟くと
「でもまあ、好きになったら過去なんてどうでもいいな」と私を見つめて言った。

心臓が大きく跳ねた。けど振られると思っていた私は、言葉の意味が飲み込めない。

「好きになったらって言った。わ……私のことですか?」
確かめる。
「言ったっけな」としらをきる。
「あれ、言いましたよね?」
「言ったかもな」
「課長、待って下さい。こんな曖昧な告白ないですよ。あれ? 告白ってことじゃないんですか?」

主語がないせいで、勘違い? なら、それはそれで恥ずかしい奴だけど、なんかそれだったらもう伝えてしまいたい。
こうしていると、好きが溢れそうだ。

「どっちがいい?」
「は?」
「1番、告白。2番、それ以外」
「……告白、選択制ですか」
「まあ、いいや」と立ち上がり、向こうへ戻ろうとする課長を後ろから抱き締め全力で阻止した。
< 152 / 333 >

この作品をシェア

pagetop