甘いだけの恋なら自分でどうにかしている
じゃれあうようなやりとりと、二つの小さな笑い声が消えると、静寂が訪れた。
課長が私を優しく引き寄せて、胸に誘導する。
冷えた空気の中、課長の温度や呼吸が伝わってくると抱きしめられる心地よさに溶けていくようだ。
髪の毛を何度かかきまぜるように撫でる。初めて触れるはずなのに、私の心地いいポイントを知っているような手つきに子猫のように目をつむって甘えたくなる。
ああ、そうか。私のことをずっとこうして触れてみたかったと告白するような優しさに満ちているからだ。
それが感じられることが、嬉しかった。
それから、私が顔を上げ目が合うと、優しくそっと口づけた。