甘いだけの恋なら自分でどうにかしている
◇
勉強会の準備をしていると
「あれ? コピーの部数が足りない」
「私、やりますよ。何部必要ですか?」と困っている私を見て若槻が声をかけてくれた。
「あと3部かな。ありがとう。お願いね」
今日は他営業所との合同勉強会と親睦会がある。
勉強会の担当と親睦会の幹事を任せられたのだけど、準備がぎりぎりになってしまった。
お店で親睦会だったら楽だったのに、社内でそのままやるということで手配するものが多いのもあったせい。
でも、これも今日で終わるしな。
ちらりと課長不在のデスクに目を向ける。
簡単なメッセージや短い電話のやりとりは増えたけど、全然プライベートで会えていなかった。
◇
「あれ? 課長、珍しい、お昼にこんなところにいるなんて」
ランチに行こうと外に出るとこちらに向かってくる課長を見つけた。
すかさずダッシュで駆け寄ると、
「何してんだよ、お前」
「今からお昼です」
「息切れしてんな」と笑うと、なんだか一瞬で満たされてしまう。
「か、課長は今から戻りですか?」
「ん? ああ、そうだけど。先に飯でもいいな。一緒に行くか?」と誘ってくれた。